オンライン服薬指導

ここに来て営業の電話が鳴り止まない。

オンライン服薬指導解禁のせいで「御社にもオンライン服薬指導の設備導入を」と幾つもの会社から何度も同じ話をしてくるのである。

オンライン服薬指導とは、文字通りオンライン(スマホやタブレット等)で薬の説明を受ける、という意味である。

何社か説明を受けても僕はあまりピンと来なかったオンライン服薬指導。電話じゃいけないの? ダメらしい。じゃ誰向け?

まず前提がオンライン診療を受けた人であろう。

でもそのオンライン診療を、どこまでの病院がやっているのか。血液検査をオンラインでするのは不可能だろうし、触診も難しい。その場での応急処置にも全く対応できないし、皮膚状態を診るにしろテレビ電話のような状態でのオンライン診療でどこまで診ることができるのか。

急性はともかく慢性疾患の患者ならば薬の内容も落ち着いているのでオンライン診療で処方を発行、オンライン服薬指導に移行するのは頷ける。

が、慢性疾患の患者さんが、はたしてスマホやタブレットを自由自在に扱える年齢層ばかりなのか?

まぁ仮に導入を前向きに検討したとしよう。

オンラインのシステム導入に何十万と提案してくる企業もあるし、ランニングコストに数万円かかるとも言ってくる企業もある。直近では従量課金制とうたう企業もあった。コストがめちゃかかるのがオンライン服薬指導だ。コロナ給付金の満額をシステム導入に当てることができます!と、給付金目当ての企業も当然いた。

オンライン服薬指導後、薬は配送になるらしいのだが、配送料もかかる。郵便局と連携したり運送会社と連携したりしている大企業様も出てきている。

ドローンで薬の配送を実施してみた、低速走行自動運転車を利用した無人配送を実施してみた、と未来的な試験をしている企業もある。

配送か・・・。なんでもかんでもイチャモンをつけたいわけではないよ?

ただ、ドローンは人に墜落したら・・・うひゃー。とも思ってしまうし、バッテリーで運べる圏内とか、電波が届く圏内とか考えると出てくる課題、難題、諸々なプロブレム。

突風で物を落とした、とか、違う人の家のベランダに不時着した、とか。

低速自動運転のものは、イタズラにあったらどうする気だろう。

麻薬・覚醒剤原料・向精神薬とか配送はできるのか? インスリン等の冷所物はどうする気だ? 湿布とか栄養剤とかの超重たい系はどうする気だ?

薬をもし仮に薬を受け取ったあとに、

「あ! あのときいうの忘れてたけど、薬余ってるの実はあるんやった。あっはっは」とか「言うの忘れてたけど併用薬、ありますねん」とか言われたら臨機応変な対応がしにくいと思うのだが・・・。物を運んだあとに数量調節が必要な場合だってもちろんある。

それに支払いが現金派には不向きなオンライン服薬指導。カード決済は可能だそうです。スマホ決済も。現金派はどうする。

他にも問題はあるかもしれないけど。

広まるのか広まらないのかまだまだ不明だぞ、オンライン服薬指導!

コロナ患者で自宅療養中、隔離する必要があるので対面服薬指導は困難!

とかいうときは活躍できるかもしれない。

インフルエンザも同様に。

まだまだ法整備、交通整備やシステム構築が必要そうだぞ、オンライン服薬指導!

これだけランニングコストがかかるのだから通常と同様の金額だとシステムを導入しない薬局や病院も出てくるかもしれないぞ、オンライン服薬指導!

実に未来的だが中身は考えないと。なんでもかんでもおんらいんおんらいん言うてても仕方がない。

 

  

 

 

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